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Bedside Teaching
バイアグラを安全に使用するために—循環器内科医が知っておくべきこと
For the Safe Use of Viagra:What cardiologists need to know
岩永 史郎
1
Shiro Iwanaga
1
1慶應義塾大学医学部中央臨床検査部心機能室
1Non-invasive Cardiology, Lab., Department of Laboratory Medicine, Keio University Hospital
pp.709-714
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901931
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心疾患患者の社会復帰へのプロセスの中で,性生活の再開はこれまであまり話題にされなかった.虚血性心疾患の危険因子である動脈硬化や糖尿病は,勃起障害(ED,erectile dysfunction)の主要な原因である.また,心筋梗塞や狭心症を発症した患者は,性行為が発作を誘発するのではないかという強い不安や恐れを有し,心因性勃起障害を生じることも少なくない.心疾患,特に虚血性心疾患では,器質性・心因性の両面から勃起障害を生じうる.患者の生活の質(QOL)を改善させるためには,性生活についての問題は避けられない.
器質性・心因性いずれの勃起障害にも有効な治療薬としてバイアグラ(Viagra,sildenafil citrate)が開発された.米国で昨年3月に市販された後,約7カ月間で600万枚以上の処方箋が発行されたが,この期間に130例の死亡が報告された.死因が確認できた82例のうち,94%の死亡が心臓に由来し,50%が心筋梗塞死であった.バイアグラは,一酸化窒素(NO)による血管拡張作用を増強して勃起を促すが,硝酸薬と併用すると致死的低血圧を生じうる.本邦でも1998年7月に新薬承認申請が行われ,1999年3月23日に市販が開始されたが,硝酸薬が狭心症以外に対しても多用されているため,バイアグラとの併用による致死的合併症が米国よりも多発する可能性が高い.
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