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Current Opinion
肺塞栓症の治療*—抗凝固療法と下大静脈フィルターを中心に
Recent Progress in Treatment for Pulmonary Embolism
岡田 修
1
Osamu Okada
1
1千葉大学医学部呼吸器内科
1Department of Chest Medicine, Chiba University School of Medicine
pp.715-720
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901932
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肺塞栓症の治療をめぐる最近1年間の話題 静脈系で形成された塞栓子(血栓,脂肪,腫瘍など)が血流に乗って肺動脈を閉塞し,急性および慢性の肺循環障害を招く病態を肺塞栓症(Pul—monary embolism:PE)と呼ぶ.しかしながら,その多くは下肢および骨盤などの深部静脈血栓症(Deep vein thrombosis:DVT)からの遊離血栓によるため,肺血栓塞栓症(Pulmonary throm—boernbolism:PTE)をさす場合が多い.PTEとDVTは,以前は異なる疾患単位として考えられていたが,最近では両疾患をまとめて静脈血栓塞栓症(Venous thromboembolism)として捉える傾向にある1,2).
従来わが国においては,PTEの発生頻度は欧米の約1/10程度とされていたが,近年の生活様式や食事の欧米化に加え,本症に対する認識および診断技術の向上もあいまって,年々増加傾向にある,本症は,基礎疾患として心肺疾患や悪性腫瘍をもつ患者や,長期臥床患者,術後患者にしばしばみられることからも3),その早期診断はもとより,適切な治療および再発予防が高い死亡率の軽減にもつながり臨床的に極めて重要といえる2).また,わが国においては急1生例に比し慢性例の発症が多くみられることから4),急性例のみならず慢性例においても的確な診断および治療が重要である5〜7).
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