Japanese
English
Bedside Teaching
医原性疾患としての大量輸液—1.肺水腫
Iatrogenic Pathology Caused by Too Much Fluid:Pulmonary Edema
池田 みさ子
1
,
西山 圭子
1
Misako Ikeda
1
,
Keiko Nishiyama
1
1東京女子医科大学麻酔科
1Department of Anesthesiology, Tokyo Women's Medical University
pp.705-708
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901930
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はじめに
輸液療法とは,「体液恒常性の維持や栄養補給が経口的に不可能な場合,輸液製剤を静脈内に投与することにより,水・電解質・代謝および栄養の是正,維持を行う治療法である.」これが輸液療法の一般的にもたれている概念であろう.輸液は,1920年代に小児下痢症に用いられ死亡率が約90%から10%に激減したことより盛んに行われるようになった.その後,電解質輸液は著しい発展をとげたが,出血・熱傷・ショック時には,投与した電解質液は組織間液に移行して,約1時間後には1/3〜1/4しか血管内に留まらないため,血管内水分量を保持するのに膠質浸透圧をもつ物質の投与が必要となった.膠質輸液は戦陣医学とともに発展した.血管内に投与された電解質液は速やかに組織へ拡散分布する.また,膠質液でも血管透過性亢進時には組織への流出がみられる.これらの結果として組織浮腫,肺においては肺水腫が発生するのである.
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