Japanese
English
特集 肺結核臨床の現場から
肺癌患者の中から結核を見出すには
Attention to Tuberculosis in a Patient with Lung Cancer
長尾 啓一
1
,
潤間 隆宏
1
,
佐々木 結花
2
,
鈴木 公典
3
Keiicii Nagao
1
,
Takahiro Uruma
1
,
Yuka Sasaki
2
,
Kiminori Suzuki
3
1千葉大学保健管理センター
2国立療養所千葉東病院内科
3結核予防会千葉県支部
1Health Sciences Center, Chiba University
2Department of Intermal Medicine, Chiba-higashi National Hospital
3Chiba Anti-Tuberculosis Association
pp.669-674
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901925
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はじめに
1997年に新規登録された活動性肺結核患者の55.1%は60歳以上,そたてその60%を70歳以上が占めるほど結核患者は高齢化している1).高齢での結核発病は,新たな感染によることは極めて少なく,60歳で60%,80歳以上であれば90%以上が有する既感染病巣からの再燃によると考えられている.一方,肺癌の好発年齢も60歳台から70歳台へとシフトし,高齢化を続けている.肺癌が発病たて進展すれば,細胞性免疫が低下することは周知のことである.また,放射線療法,強力化学療法などによっても,局所的・全身的免疫能の低下は免れない.そたて,その宿主が既感染病巣を有する高齢者であれば,結核発病のリスクが高まることは容易に推測される.事実,本邦での肺癌患者が肺結核を合併する頻度は2〜4%と報告されており2),これは呼吸器診療の場では看過できない頻度である.
本稿では,まず小病巣をみた時の肺癌と肺結核の鑑別診断法について現状を紹介し,さらに臨床現場で肺癌患者に合併する肺結核を早く見出すためにはなにが重要かを記載してみる.
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