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特集 呼吸器感染症診療の変貌
結核感染症の診断の最新動向
Latest Trend in The Diagnosis of Tuberculosis Infection
佐々木 結花
1
Yuka Sasaki
1
1公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器内科
1Respiratory Medicine Division, Respiratory Disease Center, Fukujuji Hospital Japan-Anti-Tuberculosis Association
pp.749-754
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102535
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結核の現状
1.本邦の結核の現状
本邦はG8先進国蔵相・中央銀行総裁会議参加国のなかで,ロシアに次いで結核罹患率が2番目に高い,という状況は,2012年の結核患者数においても変わっていない.結核新登録患者数21,283人(人口10万対罹患率16.7,前年比較1,398人減少,前年比較罹患率1.0減少),感染源である肺結核塗抹陽性患者数8,237人(人口10万対罹患率6.5)は,結核対策の手を緩めるには十分ではない(図1)1).
本邦に未だ結核患者が多い要因として,結核罹患率が高い時期(第二次世界大戦前後,復興時期)に若年時期を過ごすなかで結核菌に感染し,そのまま発病しなかった,あるいは軽症で自然治癒した,高齢者の内因性再燃結核患者が高率であることがあげられる.高齢者結核は典型的な呼吸器感染症症状を訴える患者ばかりではないこと2),高齢者結核患者は画像的に空洞を有さない症例が多く,空洞が多いとされる肺結核としては非典型的な症例が多いことになり,また,高齢者独特の誤嚥性肺炎をはじめとした呼吸器感染症の合併,様々な疾患の後遺症である線維化などと鑑別が付きがたいこと3)などが,高齢者の診断の遅れ(doctor's delay)を長期化しかねない.診断の遅れが生じれば,高齢者の周囲の,家族,介護者,医療従事者が存在し,これら若い世代への感染リンクをもたらしかねない.
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