Japanese
English
特集 肺結核臨床の現場から
肺炎患者の中から結核を見出すには
Differentiation of Tuberculosis from Pneumonia
仲本 敦
1
,
斎藤 厚
1
Atsushi Nakamoto
1
,
Atsushi Saito
1
1琉球大学医学部第一内科
1Atsushi Saito First Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Ryukyus
pp.661-667
発行日 1999年7月15日
Published Date 1999/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901924
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はじめに
本邦では各種予防対策の推進や診断技術,治療薬の進歩により結核は低蔓延時代を迎えた.しかし,患者の減少に伴う国民,医師,医療スタッフの結核への関心の低下はpatient's delayとdoctor's delayの大きな要因となり,相次ぐ集団感染や病院内感染が起こる結果となっている1).さらに高度蔓延時代を過ごした既感染率の高い年齢層の高齢化による結核発生率増加,自然感染をほとんど受けておらず感受性の高い若年層における感染危険率の増加も大きな要因となり1970年代後半以降,結核罹患率や感染源として重要な喀疾塗抹陽性者の割合の減少速度の鈍化が指摘される2).このような状況に加え高齢者に発症した結核や糖尿病,透析患者,悪性腫瘍,AIDSなどのimmunocompromised hostに併発する結核は非典型的な臨床像をとることも多く,結核と他の呼吸器疾患の鑑別はさらに難しくなる.
本稿では,日常診療において最も遭遇する頻度の高い呼吸器疾患である肺炎と結核の鑑別に主眼を置き,当科における呼吸器感染症例の解析を中心に,市中肺炎における結核の診断と問題点について考察する.
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