Japanese
English
連載講座 新しい観点からみた器官
前立腺―生物学的特性を反映した組織解剖
Protate histological anatomy with reference to biological nature
白石 泰三
1
,
渡辺 昌俊
1
,
草野 五男
1
,
坂倉 照妤
2
,
矢谷 隆一
1
Taizo Shiraishi
1
,
Masatoshi Watanabe
1
,
Itsuo Kusano
1
,
Teruyo Sakakura
2
,
Ryuichi Yatani
1
1三重大学医学部病理学第二講座
2理化学研究所ライフサイエンス筑波研究センター
pp.319-323
発行日 1992年8月15日
Published Date 1992/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900359
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ヒト前立腺は肥大症の好発部位としての尿道周囲の内腺組織と,癌が後発する外腺の二つの区域に,臨床的な見地からは分けられてきたが,形態的には比較的均一な腺構造を示すのみで,二つの区域の境界は明瞭ではない。ラットやマウスでは解剖学的に独立した腺(葉)を有しており1),組織内のホルモン濃度など生物学的特性も互いに異なっている。ヒト成人では漠然と五葉に分けられてきたが相互の境界は明らかでなく,生物学的特性との関係はほとんど解明されていない。
社会の高齢化および生活様式の欧米化に伴いわが国でも前立腺疾患が増加し2),前立腺も注目される臓器となりつつあるが,解剖を含めいまだ不明な点が多い。ここでは最近の知見を含め,前立腺の発生,解剖学を紹介し,あわせて明らかにされつつある生物学的特性の部位別差異を示す。
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