Japanese
English
特集 最近話題の薬物誘起性心肺障害
薬物誘起性肺血管障害
Drug Induced Pulmonary Vascular Diseases
国枝 武義
1
Takeyoshi Kunieda
1
1慶應義塾大学伊勢慶應病院内科
1Department of Internal Medicine, Ise Keio Hospital, Keio University
pp.665-672
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901724
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
薬物誘起性肺血管障害に関する最近の話題としては,フェンフルラミンという肥満の治療薬が,難治で予後の悪いことで知られる原発性肺高血圧症の発生に関係あるとする報告がなされて来ている1).似たようなイベントはおよそ30年くらい前になるが,ヨーロッパでやはり食欲抑制薬であるアミノレックスという肥満の薬を服用した人に原発性肺高血圧症が流行性に多発したことがある2).
フェンフルラミンという薬は1973年に米国で肥満症の人のための食欲抑制薬として承認されており,また最近ではその誘導体であるデックスフェンフルラミンという薬が肥満症治療薬として承認された.これらの薬剤の3カ月以上の長期内服では,原発性肺高血圧症の発生率が23倍に増加することが知られるようになり3),わが国では承認されていない薬であるが,インターネットを使って海外からの輸入が可能であり,厚生省はこうした医薬品の販売や広告を規制する方針である.そのほか経口避妊薬の服用4),前立腺治療薬としてのエストロゲン薬の服用が肺血栓塞栓症のリスクファクターとして知られており,これらの肺血管障害を起こす薬物についての最近の話題を中心に述べる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.