Japanese
English
特集 呼吸器疾患の診断のロジック
肺血管疾患
Pulmonary vascular disease
国枝 武義
1
Takeyoshi Kunieda
1
1国立循環器病センタ—内科心臓肺血管部門
1Cardiovascular Pulmonary Division, Dept. of Medicine, National Cardiovascular Center
pp.941-949
発行日 1987年9月15日
Published Date 1987/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205117
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
肺血管疾患(pulmonary vascular disease)の概念は必ずしも明確ではなく,広義には,肺血管をおかす疾患が広く含まれ,一次性,二次性の肺高血圧をきたす心肺疾患のすべてが含まれることがある。しかし狭義には主として肺血管を病変の場とする疾患に対して用いられ,この方がより一般的であるといえる。
筆者らは肺血管疾患を狭義に解釈し、表1のごとく分類して用いている。この分類に従えば,肺血管疾患は肺血管の先天異常を別にすれば,ほとんどが一次性に肺血管の閉塞性病変を生ずる疾患であるといえる。肺血管に病変を有することより,肺循環系の障害にウエイトがかかるとはいえ,肺血管疾患は肺の機能血管である肺動脈とその分枝血管を病変の場とすることから,疾患により程度の差こそあるが,肺循環および肺ガス変換の両面が少なからず障害されるという特徴を有する。
本稿では,呼吸器疾患診断のロジックの特集で,肺血管疾患について述べるのであるが,典型的肺血管疾患として知られるものに,原発性肺高血圧症があり,また近年注目を集めている疾患に肺血栓塞栓症がある。これらの疾患を中心に,肺血管疾患の診断論理について述べる。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.