Japanese
English
特集 好酸球と肺疾患—最新の知見
好酸球浸潤と接着分子
Transmigration of Eosinophils and Adhesion Molecules
岡田 信司
1
Shinji Okada
1
1東北大学医学部第一内科
1First Department of Internal Medicine, Tohoku University School of Medicine
pp.551-556
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901704
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はじめに
気管支喘息の患者の喀痰中には,多数の好酸球が存在する.気道壁内にも多数の好酸球が浸潤してきていることが知られている.これらの好酸球は,ECP,MBPなどの組織傷害性の高い蛋白質や,PAF,LTC 4その他のケミカルメディエーター,さらにはIL-3,IL-4,GM-CSF,TNF-α,TGF-βなどの炎症性サイトカインを放出することにより1),気道壁に炎症を引き起こし,また,その炎症を増強する.しかし,そのためには,血中を流れる好酸球は,浸入すべき部位の血管内で止まり,血管壁を破り,間質内を通らなければならない(図1).さらに,喀痰中に出る場合,気道上皮層をも通過しなければならない.血管壁は,血管内皮細胞が,接着因子により互いに,密に接着しあった内皮の層と,その外側の基底膜からなり,液性の成分さえも簡単には通過できないバリアーを形成している.気道上皮細胞層も,外界から,また内に対しても一種のバリアーになっている.したがって,好酸球は,これらを通過するプロセスにおいて,何らかの能動的な動きをしなければ炎症局所に到達することはできない.近年,好酸球浸潤の各ステップについての詳細なメカニズムが明らかになりつつある.このなかで,好酸球が,いかにこのバリアーを通り抜けていくかを,接着分子を中心にまとめる.
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