Japanese
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特集 好酸球と肺疾患—最新の知見
好酸球遊走と新しいケモカイン
Eosinophils and Chemokines
浅野 浩一郎
1
Koichiro Asano
1
1東京電力病院内科
1Department of Medicine, Tokyo Electric Power Hospital
pp.543-550
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901703
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はじめに
喘息患者の気道周囲に浸潤した著しい数の好酸球はMajor Basic Proteinなどの顆粒蛋白やロイコトリエンなどの脂質メディエーターを放出し,いわゆる“慢性好酸球性剥離性気管支炎”像を形成する.この気道局所への好酸球浸潤および活性化はアレルギー性炎症の治療上の重要なターゲットの一つであり,その機序の解明のため精力的な研究が行われている.
インターロイキン3,インターロイキン5,GM-CSFなどのサイトカインは骨髄幹細胞に作用して好酸球産生・分化を誘導し,さらに成熟好酸球に対しても運動性亢進,アポトーシス阻害などの作用があり,好酸球性炎症の成立に重要な因子である.事実インターロイキン5を中和抗体により阻害するとアレルギー性炎症における好酸球浸潤とそれに伴う炎症をほぼ完全に抑制することができる.しかし,逆にインターロイキン5を過剰発現させたトランスジェニックマウスでは末梢血および諸臓器内の好酸球数は著増するが,この時の好酸球は活性化されておらず,組織障害,気道過敏性亢進などを来さない.この事実は,好酸球性炎症の成立のための局所好酸球遊走・刺激因子,特にケモカインと接着因子の重要性を示唆している.接着因子については別稿で述べられるので,本稿ではケモカインについて最新の知見を紹介したい.
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