Topics Respirtion & Circulation
気道分泌亢進の病態生理と新しい治療法の開発
玉置 淳
1
1東京女子医科大学第一内科
pp.419-420
発行日 1998年4月15日
Published Date 1998/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901681
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最近の動向 一般に,喘息をはじめ多くの慢性気道炎症では気道分泌が亢進している.その結果,気管支腔内に貯留した粘稠な分泌物は閉塞性換気障害を助長するとともに,粘液線毛輸送を障害し反復する気道感染の誘因ともなりうる.したがって,気道分泌亢進を制御することは上記疾患の治療戦略のうえできわめて重要と考えられるが,その病態生理が未だ十分解明されていないため,治療法の開発も立ち遅れている現状である.
喘息死症例の気道では著明な杯細胞増生が認められることより,本疾患でみられる分泌亢進に杯細胞が関わっている可能性がある.感作モルモットを用いた最近の検討では,即時型アレルギー反応において肥満細胞由来のヒスタミンが気道上皮細胞H1受容体を介しC1分泌ひいては水分分泌を増加させ,また杯細胞H2 受容体を刺激し粘液糖蛋白分泌を促すことが明らかとなった(Tamaoki J, etal:J Allergy Clin Immunol 99:233-238,1997).しかし,杯細胞増生といった気道粘膜リモデリングの機序は不明であり,好酸球やTリンパ球との相互作用を念頭に置いた検討が必要である.
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