Japanese
English
特集 気腫化病変の早期診断をめぐって
肺機能検査による肺気腫早期診断
The Early Diagnosis of Emphysema by Pulmonary Function Tests
副島 研造
1
,
山口 佳寿博
1
,
甲田 英一
2
Kenzo Soejima
1
,
Kazuhiro Yamaguchi
1
,
Eiichi Koda
2
1慶応義塾大学医学部内科
2慶応義塾大学放射線科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
2Department of Radiology, School of Medicine, Keio University
pp.249-255
発行日 1996年3月15日
Published Date 1996/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901212
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はじめに
自他覚症状,身体所見,胸部X線写真で肺気腫が示唆されるような,いわゆる“確立された肺気腫”においては肺機能検査上種々の異常が認められる.表1に1962年の第5回肺気腫研究会において申し合わされた肺気腫の機能的診断基準を示す.この基準のなかでは特に1秒率(FEV1%),残気量(RV:residual volume),RVを全肺気量(TLC:total lung capacity)で除した残気率(RV/TLC)など肺気量分画の項目が重要視されている.この臨床的診断基準は肺気腫というよりも気道閉塞を呈するいわゆる“慢性閉塞性肺疾患(COPD)”の診断基準であり,この基準を満足するからといって必ずしもその患者が気腫性病変を有するとは限らない.後述するごとく広範な末梢気道病変を有する症例においても当然のことながらこの診断基準を満足するものが多数存在する.肺気腫研究会において提出された基準には“きつい基準”と“あまい基準”の2つが存在するが,これらの診断基準はあくまで確立された慢性肺気腫において,肺機能検査上いかなる異常が認められるかを示したものであり,肺気腫の早期診断あるいは今後病的肺気腫へ進展する症例を検出することを目的としたものではない.
本稿ではまず喫煙と慢性肺気腫との関係,肺機能検査と病理学的な肺気腫病変との相関について簡単に概説した.次に早期肺気腫病変検出の可能性について過去の文献,さらに自験例をもとに肺機能検査と高分解能CT(HRCT)を組み合わせた検討について述べた.
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