今月の主題 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患とは
肺気腫
滝沢 敬夫
1
Takao Takizawa
1
1東京女子医科大学・内科
pp.2598-2599
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219515
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肺気腫とは
気腫という言葉はもともとギリシャ語の"em-physan"に由来し,"ふくらます"ことを意味している.肺のふくらむ疾患—肺気腫—が一つの病態として把えられたのは1819年Laennecの報告にまでさかのぼるが,その臨床的概念や病像が国際的な観点で真剣に論じられるようになったのは,1959年Ciba Guest Sym-posium以来のことである.化学療法剤の開発にともなって感染性肺疾患が抑えられる一方,近代工業の発達にともなう大気汚染,人口の老齢化などが肺気腫をはじめとする非特異的肺疾患の増加に拍車をかけ,しかも肺機能検査法の進歩がこれらの病態を臨床的にも浮きぼりにするようになったからである.
このCiba Guest Symposiumは当時,肺気腫という用語が臨床的に乱用されている実状をふり返り,その定義,分類,用語法を,近縁疾患(気管支喘息,慢性気管支炎)とともに再整理し,統一をはかることを目的としたもので,その内容は近年における肺気腫の疾病概念を基礎づけたものということができる.
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