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■最近の動向 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療に革命をもたらしたnasal CPAP(Con—tinuous Positive Airway Pressure)は,呼吸管理面においても2つの大きな副産物をもたらした.すなわちnasal maskの改良とBiPAP機器の開発である.人工呼吸管理におけるゴールデンスタンダードはサーボ器をはじめとする容量型陽圧人工呼吸器による管理であるが,気管内挿管が絶対的に必要であるため,患者への侵襲が大きい.これを避けるためのNPPV(Noninvasive positive pressure ventilation)は,これまでCuirass型ベンチレーターに代表される陰圧型人工呼吸器が主流であったが,これには,睡眠中の上気道閉塞という致命的な欠陥があり,現在ではあまり用いられていない.これに代わり,nasal maskを用いる人工換気療法が,特に慢性のII型呼吸不全例(神経一筋疾患など)に適応され十分な効果が報告されている.BiPAP(Bi-level positive airway pressure)機器は当初,OSAS患者の治療のために開発されたものであるが,吸気圧と呼気圧と各々独立して設定できるため人工呼吸器の代用とすることが可能であり,一般の人工呼吸器に比し,はるかに簡便で安価である.近年このnasal mask+BiPAPによる人工呼吸管理が,慢性呼吸不金だけでなく,急性のII型呼吸不全例にも応用されつつある.特に,COPDの急性増悪は,日常の臨床で最も遭遇するケースであり,これらに対し,NPPVが適応でき,最終的に気管内挿管を防止できるとすれば,患者にとって大いなる福音となろう.
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