Japanese
English
特集 NOと循環調節
血管内皮を介する末梢循環調節の異常と慢性心不全の病態
The Role of Endothelium in the Abnormal Peripheral Circulation in Heart Failure:Its clinical implication and relation to exercise intorelance
中村 元行
1
Motoyuki Nakamura
1
1岩手医科大学第二内科
1Second Depertment of Internal Medicine, Iwate Medical University
pp.147-153
発行日 1996年2月15日
Published Date 1996/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901195
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はじめに
慢性心不全(CHF)の末梢血管抵抗の上昇は,その心機能や運動耐容能などの臨床症状を悪化させる要因と考えられている.最近,この末梢循環調節異常に血管内皮機能異常が関係することが明らかとなってきた.血管内皮は,一酸化窒素(NO),プロスタグランジン,内皮由来過分極因子,アドレノメデュリンやエンドセリンなどの多数の血管作動物質を合成している.これらの物質は内皮細胞から分泌され,パラクラインとして隣接する血管平滑筋などに作用し,血管トーヌスのみならず血管機能やその組織構築にも影響を与えていると考えられる.CHFでは,内皮での血管作動物質の合成やその分泌異常および血管組織での作用異常が存在するため,内皮を介する末梢循環調節機能が障害されていると考えられる.
本稿では,CHF患者にみられる血管内皮機能と末梢循環調節異常,特に運動能との関連性,さらに,その治療法への試みについて,われわれの研究結果を含めて最近の報告をまとめてみた.
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