Japanese
English
特集 圧受容体反射異常の病態
圧受容体反射を介する心拍・血圧調節機構
Regulatory Mechanism of Heart Rate and Arterial Pressure through the Baroreflex System
池田 安宏
1
,
松﨑 益德
1
Yasuhiro Ikeda
1
,
Masunori Matsuzaki
1
1山口大学医学部第二内科
1Department of Internal Medicine II, Yamaguchi University School of Medicine
pp.117-124
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901636
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
圧受容体反射は自律神経反射の中で血圧を一定に維持するために重要な反射調節系として古くから知られている.この反射弓の構成要素としては,心肺圧受容器反射が約100年前に,頸動脈洞反射が約70年前にその存在が報告されている.これら圧受容器反射系は外界からの血圧変動刺激に対し,延髄にある循環調節中枢と呼ばれる領域の反射弓を介して末梢血管抵抗,心拍数,心収縮性などを変化させて血圧を一定に保持する負フィードバック系を構成している.また,腎からのレニン分泌,下垂体からのバソプレッシン分泌も同時に制御しつつ,血圧調節の恒常性を維持している.実際,圧受容器反射系はこのように多種の反射弓によって構成されており,複雑な統合反応として血圧,心拍数が調節されている(表1).
近年,コンピューター解析技術の進歩や,圧反射機能測定法のより深い意味づけにより,少しずつ各種病態と圧受容体反射異常の関係が明らかにされつつある.とりわけ慢性心不全においてみられる交感神経系の異常亢進と圧受容体反射異常の関連が深いことが指摘されている1).心不全患者では圧受容体反射の感受性低下は生命予後の悪化に関連していると報告されている.そのため圧受容器反射系の機能を知ることは心不全の治療戦略をたてるうえでも重要であるとして注目を集めている.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.