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特集 心筋障害とケミカルメディエーター
心室リモデリングとレニン・アンジオテンシン系
Cardiac Remodeling and Renine Angiotensin System
川口 秀明
1
Hideaki Kawaguchi
1
1北海道大学医学部臨床検査医学講座
1Department of Laboratory Medicine, Hokkaido University School of Medicine
pp.1071-1078
発行日 1995年11月15日
Published Date 1995/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901143
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心筋を構成する細胞のなかで,心筋容積の約75%を心筋細胞が,その他を線維芽細胞(cardiacfibroblasts,心筋線維芽細胞),心筋内の血管平滑筋細胞や内皮細胞などが占めている1).一方,細胞数では心筋細胞以外の細胞が心筋の60%以上を占めており,その大半は心筋線維芽細胞である.心肥大では心筋細胞(cardiac myocytes)の肥大と間質の線維化が起こり,これらが不均一な分布を示し,心筋の再構築(リモデリング)が生ずる2).その成因や病態に関しては不明な点が少なくない.
心筋線維芽細胞は心筋の細胞外マトリックスの主要な構成成分であるI型,III型およびV型コラーゲン蛋白を産生する.コラーゲン線維は心臓の構造維持や力学的強度の形成に重要な役割を果たしていると考えられており,その量的・質的変化は心室の収縮・拡張機能に大きな影響を与え,不整脈発生の素地ともなると考えられている.ヒトや実験動物における高血圧性肥大心では,心筋細胞の肥大とともに間質コラーゲン線維が蓄積し3),そのため心室の拡張機能が障害されることが示されている4).したがって,心筋線維芽細胞の増殖因子やコラーゲン代謝の調節因子を明らかにすることは心肥大の成因や病態を解明するために重要である.
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