臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅹ.内分泌機能検査
164.レニン・アンジオテンシン系
猿田 享男
1
Takao Saruta
1
1慶応義塾大学医学部・内科
pp.2498-2500
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219485
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レニン・アンジオテンシン系の検査上の注意
レニン・アンジオテンシン(R-A)系は,主要産生部位である腎傍糸球体装置で産生されるレニンと,肝で産生されるレニン基質(アンジオテンシノーゲン)とが反応してアンジオテンシンⅠ(AⅠ)を生じ,それが肺や腎に多く存在するアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きにより,生物活性のあるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)に変換し,血圧や水・電解質調節に重要な役割を果たす系である.近年の研究で,レニンは腎以外に脳,血管,副腎などの諸臓器で産生されることが判明し,さらにレニンには活性型レニンと,pHを3.3程度に低下させたり,トリプシン処理などにより活性化されてくる不活性型レニンの存在が明らかにされた.しかし,一般臨床上問題となるのは腎から分泌される活性型レニンの動きである.
R-A系の生物活性の中心はAⅡであるので,この系の活性を知るにはAⅡの測定が最も適するが,未だ測定法に問題があるため,血漿レニン活性(PRA)の測定が広く用いられている.PRAの測定は,血漿中のレニン濃度とレニン基質の反応結果を反映するものであるため,レニン基質が著しく変化している場合には必ずしもレニン濃度を反映しない場合がある.また最近本邦でも使用されるようになったACE阻害剤の使用時には,AⅡが低下してこの系の生物活性は抑制されるものの,レニン産生は亢進するためPRAは高値となる.
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