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レニン—アンジオテンシン系
Q
pp.38
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202847
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腎臓の抽出物中にある昇圧物質に,レニンという名がつけられて,この物質が実験的高血圧症との関連において注目をあつめるようになったのは1930年代の後半であった.レニンは酵素作用をもち,血中蛋白に働いてはじめて強い昇圧作用を示すことが明らかにされ,活性物質はアンジオトニンとかハイパーテンシンと呼ばれたが,現在では"アンジオテンシン"という名称に統一されている.
レニン-アンジオテンシン系は,高血圧症の重要な原因に結びつくものと考えられ,過去20年にわたり,多彩で広範な研究がなされている.血中蛋白からはレニンによって,まず10個のアミノ酸から成るアンジオテンシンIが生じ,これから2個のアミノ酸がはずれて,強い活性をもつアンジオテンシンIIになることも明らかにされたものの,レニンやこのアンジオテンシンIIの血中濃度は,高血圧症ではむしろ低くなることが多く,簡単には高血圧症と結びつかないままであった.
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