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解説
心拍・血圧変動からみた交感神経活動
Sympathetic Nervous Activity Relating to Heart Rate and Blood Pressure Variation
栃久保 修
1
Osamu Tochikubo
1
1横浜市立大学医学部附属浦舟病院第2内科
1Department of Internal Medicine II, Yokohama City University Urafune Hospital
pp.747-752
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901094
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はじめに
心拍数(HR)や血圧(BP)の日内変動と交感神経活動を論ずるうえでは,その他の循環動態の日内変動とその制御機構を視野に入れる必要がある.心拍数や血圧はその循環動態のひとつのパラメーターに過ぎないからである.しかし,Guytonのモデルにもあるように1),その制御機構は極めて複雑であるので,ここでは臨床的な立場より単純化し(図1),Windkessel modelを用いて測定し得る素子に限定し,血圧と心拍数の日内変動とその制御機構について述べてみたい.
ここでの基本的な考えは,血圧や心拍数は1日のうちで約十万個の変動値があるが,睡眠時には外因ストレスが除かれた基底(base)値が存在しているということであり,そしてこれを出発点として日常の種々の外因ストレスに対応して適切な臓器血流(blood flow:BF)を保つために心拍と血圧は変動しているということである.
この外因ストレスには大きく2つの種類があり,そのひとつは体位変動や脱水など血圧低下に対して,あるいは蹲踞の姿勢などによる血圧の上昇に対して負帰環制御(negative feedback:nf)を必要とするストレス(図1のstress−1)と,他のひとつは精神活動や肉体活動など十分な血流を必要とする時に循環系をプラス方向に総動員する正帰環制御(positive feedback:pf)を要するストレス(stress−2)である.この両者はともに交感神径調節を要するが,その反応様式は全く異なる.
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