Japanese
English
綜説
動脈波形の成因
Determinants of Arterial Pressure Waveform
杉町 勝
1
,
松浦 渉
1
,
宮野 博史
1
,
宍戸 稔聡
1
,
川田 徹
1
,
佐藤 隆幸
1
,
砂川 賢二
1
Masaru Sugimachi
1
,
Wataru Matsuura
1
,
Hiroshi Miyano
1
,
Toshiaki Shishido
1
,
Toru Kawada
1
,
Takayuki Sato
1
,
Kenji Sunagawa
1
1国立循環器病センター研究所循環動態機能部
1Department of Cardiovascular Dynamics, National Cardiovascular Center Research Institute
pp.740-746
発行日 1995年8月15日
Published Date 1995/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901093
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はじめに
最近の血圧計測法の進歩(トノメトリ法)により非侵襲的にも血圧を一拍毎に連続して測定できるようになった.また,高忠実度ではないものの血圧波形を知ることができるようになった.従来は血圧波形そのものは動脈に針を刺さなければ知ることができず,また高忠実度の血圧波形はカテ先血圧計を動脈内に挿入しなければ測定の方法がなかった.これらに比べると非侵襲的に繰り返し測定でき,また長期にわたる変化を間欠的に測定できることはトノメトリ法の利点である.また,以前は非侵襲的には脈波波形を測定し動脈圧波形の代用にしていたが,測定法の限界から基線の動揺や雑音が多く,忠実度も低く,また絶対値も意味をもたないものであった.これに比較すればトノメトリ法の血圧波形とカテ先圧波形の相関はかなり改善した.
ところがいざ血圧波形が測定できるようになると,その解釈についてはよく知られてないことがあらためて問題となる.血圧波形は心臓と血管系の相互作用によって生成されることが知られており,その両者の影響が複雑に絡み合って血圧波形を形成する.したがって,血圧波形から心臓の変化が起きたのか,血管の変化が起きたのかは原理的には区別ができない.次に,血圧波形に影響を与える心臓や血管の性質とは何か明らかでないことが多い.このような性質としては心臓あるいは血管系の固有の性質を同定する必要がある.
以上のことから,本稿ではまず血圧波形の成り立ちの原理について述べ,心臓および血管系の固有の性質とは何かについて考察し,これらの性質が血圧波形にどのような影響を与えるか考察を加える.
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