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特集 冠血流と心筋血流計測
冠血流波形とその成因—正常および病態時
Origin of coronary blood flow waveform:normal vs. abnormal
梶谷 文彦
1
Fumihiko Kajiya
1
1川崎医科大学医用工学
1Department of Biomedical Engineering, Kawasaki Medical School
pp.697-702
発行日 1988年7月15日
Published Date 1988/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205281
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はじめに
心拍動による動脈圧の上昇は冠循環系への駆動圧発生源であると同時に,そのときに使用されるエネルギーは冠血流のニーズの主体になる。冠循環の主な特徴は,それが心筋の中を灌流することに起因している。すなわち,心収縮により動脈側から心筋への流入は阻害されるが,反面,心筋より静脈側への流出は促進される。また,好気的代謝が主である心筋は,O2除去率が高く,酸素需要に対する血流依存性が極めて高い。そのため,酸素需要に対する血流増加率は高く,4〜6倍といった冠予備力があるが,平常では動脈圧のある程度の変化に対しては流れをほぼ一定に保つ血流の自己調節機構が働いている。
このような冠循環系に関する研究の歴史は古く,例えばその名付け親はGalen (130〜200?)であり,それが心臓を栄養する血行路であることを立証したのがHar—vey (1578〜1659)である。このような古い基盤の上に,新しい計測技術の展開が加わって,今日の冠循環に対する知見が得られた。ここでは,冠動・静脈血流波形の特徴,成因および病態時における波形並びに心筋内冠血流分布について述べる。
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