Japanese
English
特集 多方面からの肺高血圧症へのアプローチ
肺高血圧症の成因
Pathogenesis in Pulmonary Hypertension
阿部 弘太郎
1
,
廣岡 良隆
1
,
砂川 賢二
2
Kohtaro Abe
1
,
Yoshitaka Hirooka
1
,
Kenji Sunagawa
2
1九州大学大学院医学研究院先端循環制御学講座
2九州大学大学院医学研究院循環器内科学
1Department of Advanced Cardiovascular Regulation and Therapeutics, Kyushu University Graduate School of Medical Sciences
2Department of Cardiovascular Medicine, Kyusyu University Graduate School of Medical Sciences
pp.1097-1103
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102357
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はじめに
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は,過収縮と肺血管リモデリングにより肺小動脈が高度に狭窄し,肺動脈圧が上昇する疾患群である.PAHの治療薬として,プロスタサイクリン(PGI2),エンドセリン受容体拮抗薬,一酸化窒素(NO)吸入,5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)阻害薬などの薬剤が開発されてきたが,PAHの予後を充分に改善したとは言えない1).したがって,新たな進展機序の解明,および新規治療法の開発が急務である.従来,PAHは肺血管収縮により増悪するとされてきたが,この20年でPAHの進展機序に対する考え方は劇的に変化した.現在,肺血管収縮は初期に認められる反応(もしくはトリガー)の一つであり,肺小血管リモデリングの進展こそがPAHの主たる増悪機序だと考えられている2).これまで多くの血管リモデリングの増悪因子が報告されてきたが,なかでも血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor;VEGF)や血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor;PDGF)などの成長因子,bone morphogenetic protein 2型受容体(BMPR2)などの遺伝子変異などがその代表である.また,Notchなどの新たな増悪経路,修復作用が期待される骨髄由来内皮前駆細胞,感染・サイトカイン・ケモカインを介した炎症など報告されている.このように,PAHは様々な因子が複雑に絡み合うことで発症していることは明らかである.本稿ではこれまで報告された代表的な肺血管病変の増悪因子について具体的に解説する.
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