Topics Respiration & Circulation
心拍変動低下例の心事故予防
中沢 潔
1
1聖マリアンナ医科大学第2内科
pp.999-1000
発行日 1996年9月15日
Published Date 1996/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901340
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■最近の動向 心拍変動の時間領域,周波数領域の解析が行われるようになり,個々の自律神経の定量的評価が行われている.心筋梗塞の予後と自律神経機能との関係が報告され注目されて久しいが,突然死などの心事故例は,そうでない例に比べて迷走神経機能の指標である高周波成分のみならず,交感神経の指標である低周波成分(低周波/高周波の比)が低下し,日内変動が消失しているとする報告である.電気生理学的な心室頻拍・細動誘発可能例と不能例との比較でも,誘発可能例において時間領域,周波数領域の各指標が低下していたが,左室駆出分画,心室期外収縮,心室遅延電位とこれらの指標との関連がないことが報告されており,予後を規定する独立した指標とも考えられる.その機序については,心筋障害による自律神経末端の除神経が生じ,求心路が障害されるとする考え方であるが,不明な点も多い.また,VT,Vfの閾値を低下させる機序についても明らかではない.また,その予防については,β遮断剤,ACE阻害剤,運動などが有効に作用するとする考えもあるが不明な点が多い.今回は予防についての最近の報告を紹介する.
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