Japanese
English
特集 NO(一酸化窒素)
吸入NOとARDS
Inhaled Nitric Oxide in ARDS
山田 芳嗣
1
Yoshitsugu Yamada
1
1東京大学医科学研究所付属病院手術部
1Surgical Center, Hospital of The Institute of Medical Science, The University of Tokyo
pp.857-864
発行日 1994年9月15日
Published Date 1994/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900921
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はじめに
1980年にFurchgottらは,アセチルコリンの血管拡張作用に血管内皮の存在が不可欠であり,その作用発現に不安定な体液性因子が関与していることを明らかにし,これをendothelium-der-ived relaxing factor(EDRF)と命名した1).1980年代後半には,EDRFはnitric oxide(NO)とほぼ同一視されるようになり,血管拡張調節因子としてのNOに関する知見が集積された.同時に,NOの生体内における合成経路の解明も進み,血管内皮細胞ばかりでなく,神経細胞やマクロファージなどにもNO合成酵素が存在し,NOは多彩な生理作用を持つことが明らかになった2).このようなNOに関する基礎研究の進展は,NOを治療薬として検討するという新たな展開を生み出し,特にNOの吸入による投与が肺高血圧を伴う種々の病態に対する選択的肺血管拡張薬として期待されている.本稿では,その応用の一つとしてARDSにおけるNO吸入療法を取り上げる3).
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