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新たなARDS診断基準における画像所見の位置付け
2012年に上梓された新たなARDSの診断基準であるBerlin定義(表1)1,2)は,1週間以内の発症規定や,呼気終末陽圧(positive end-expiratory pressure;PEEP)換気下での酸素化の規定など,従来の基準3)より厳格になっているだけでなく,心不全や輸液負荷で説明できない肺水腫の条件もあり,経過を含めた臨床医の総合診断が要求されている.また酸素化障害の程度によって,軽症,中等症,重症の3段階の重症度分類が加わり,従来のacute lung injuryの概念がなくなった.“胸部X線所見上の両側性陰影”の項目は,旧基準と変更なく採用された唯一の項目であるが,これまでも胸部X線写真の診断感度および特異度の低さ,重症度を反映しないなどの問題点が指摘されてきた4).Berlin定義のなかで,胸部X線での両側性陰影に付記されている除外項目に,胸水,無気肺,腫瘍性病変がある.胸部X線だけでは,これらを明確に鑑別することは困難である場合も多く,CTを補助診断法として用いるという位置付けである.通常CTは,病変の広がりと生理学的指標との関連,合併症(気胸,肺炎など)の検出,原因病態(肺性か,肺外性か)の予測に有用である.一方,MDCT(multi-detector row CT)の出現とその時間分解能向上により,呼吸停止が難しいARDSにおいても,HRCTの撮像は可能であり,マクロからサブマクロの病理像を反映することから,種々のびまん性肺疾患と同様に,ARDSにおいてもその意義が明らかとなっている.本稿では,ARDSにおける呼吸機能障害とCT所見との関連,およびHRCT所見の臨床的意義について述べる.
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