講座
ARDS
沼田 克雄
1
Katsuo Numata
1
1自治医科大学麻酔科
1Dept. of Anesthesiology, Jichi Medical School
pp.109-115
発行日 1977年2月15日
Published Date 1977/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203008
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1967年,Ashboughら1)は,彼等のRCUで経験した12名の重篤な急性呼吸不全患者について報告した。これらの患者は,いずれも過去に肺疾患の既往がないにも拘らず,ショックや外傷などに続発して高度の呼吸不全をおこしたものであった。その臨床像として特徴的だったのは,呼吸困難,頻呼吸,酸素に反応し難いチアノーゼ,X線でのdiffuseな肺野の浸潤,肺コンプライアンスの減少等であった。死亡例の肺は,うっ血と無気肺で重量を増し,ヒアリン膜の形成が認められた。以上の所見が,新生児のIRDS (idiopathic respiratory distress syndrome)と酷似しているとして,Ashboughらは,この病態をARDS (adult respiratory distress syndrome)と命名した2)。
一方,従来,これに似た病態には,shock lungとかwet lungなど,種々の類似語が与えられている。Blais-dell3)は,respiratory distress syndromeの同義語として表1のような名称を多数列挙している。
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