Japanese
English
特集 Ischemic Preconditioningと心筋保護
Ischemic Preconditioningにおけるアデノシンの心筋保護作用の意義
Role of Cardioprotection of Adenosine in Ischemic Preconditioning
北風 政史
1
,
堀 正二
1
,
南野 哲男
1
,
鎌田 武信
1
Masafumi Kitakaze
1
,
Masatsugu Hori
1
,
Tetsuo Minamino
1
,
Takenobu Kamada
1
1大阪大学医学部第一内科
1The First Department of Medicine, Osaka University School of Medicine
pp.215-225
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900825
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はじめに
短時間心筋虚血の先行により,心筋は虚血耐性を獲得し,その後生じる長時間虚血による心筋壊死領域が著明に縮小することが知られている(is-chemic preconditioning)1〜3)).この心筋壊死防御機構の解明は,循環器病研究者にとって虚血心の病態生理への理解を深めるのみならず,急性心筋梗塞の新しい治療法の開発に資する点が大である.
当初,ischemic preconditioningは短時間虚血刺激による健常心筋から虚血心筋への側副血行路の開口によると考えられた.しかし,①マイクロスフェア法で求めた冠側副血行流量で正規化しても心筋壊死縮小効果が認められること,②側副血行路発達の乏しいウサギ,ブタ,ラットでもis-chemic preconditioningの壊死縮小効果が認められることから,ischemic preconditioningの効果は側副血行路の発達のみでは説明がつかず,現在では,心筋自体の質的変化が虚血耐性獲得と関与すると考えられている.
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