Japanese
English
特集 Ischemic Preconditioningと心筋保護
IK,ATPとIschemic Preconditioning
Role of ATP-sensitive K+ Channel in Ischemic Preconditioning
朝倉 靖
1
,
谷 正人
2
Yasushi Asakura
1
,
Masato Tani
2
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
2慶應義塾大学医学部老年科
1Cardiopulmonary Division, Department of Internal Medicine, School of Mediclne, Keio University
2Department of Geriatrics, School of Medicine, Keio University
pp.245-253
発行日 1994年3月15日
Published Date 1994/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900829
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
1986年に,先行する一過性の短時間虚血を行うとその後の虚血,再灌流後の心筋梗塞範囲が縮小する現象として,初めてpreconditioningの概念が提唱された.その後,心筋虚血,再灌流に伴う不整脈の抑制効果や虚血再灌流後の心機能の回復改善に対してもpreconditioningなる言葉が使用されるようになった.1990年代に入り,pre—conditioningの機序の解明をめざした研究が展開され,その成果にはめざましいものがある.まずadenosineの,そして引き続いてATP感受性K+チャネルのpreconditioningへの関与が発見された.一方,Patch-Clamp法などの新しい手法の導入によって細胞内外のイオンの詳細な動きが捉えられるようになり,機能解明の点でNa+チャネル,Ca2+チャネルに遅れをとっていた様々なK+チャネルの検討が行われるようになった.このなかでも心筋保護作用と関連するとされるユニークなATP感受性K+チャネルに対する関心は高く,数多くの知見が集積されてきている.
本稿では,ATP感受性K+チャネルを中心にpreconditioningの機序をめぐる変遷と,さらにはadenosineとの関連について概説する.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.