先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
胎児心拍数曲線の考え方—発現機構とその調節
胎動と心拍数変動—NSTの診断基準をめぐって
原 量宏
1
,
柳原 敏宏
1
,
神保 利春
1
Kazuhiro Hara
1
1香川医科大学母子科学教室
pp.609-615
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207438
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胎児活動性の評価法として分娩監視装置によるNST(non-stress test)が急速に普及している。NSTは分娩監視装置を装着するだけで,胎児の刻々の状況を直接的に把握できること,また子宮収縮の検出は早産の防止にも役立つこと,さらに心拍数や胎動は妊婦にも理解しやすく,NSTの検査そのものが母性の確立に役立つことは大きな利点である。NSTの判定には胎動と胎動時の胎児心拍Accelerationの2つのパラメーターが用いられる。胎動時にAccelerationがあれば(reactive)胎児の状態は良好と判定し,胎動時にAccelerationが生じなければ(nonreactive)胎児の状況は悪化している可能性があると判定する1)。これだけからいえばNSTの判定は容易といえるが,実際には判定に苦慮する場合が多い。胎児は睡眠覚醒のリズムを持ち,リズムに応じて胎動,心拍パターンが変化すること,胎動とAccelerationの定量的関係が明らかでないこと,胎動の検出法の定量性についてなどさまざまな問題が残されている。本稿ではNSTの判定基準のよりよき理解のために,胎動,胎動時のAcceleration,胎動検出法,それらの妊娠週数による変化,さらにIUGRや潜在性胎児仮死の場合の胎動,心拍数の変化などについて解説する。
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