Japanese
English
特集 下肢のむくみ
内分泌性のむくみ
Edema of Endocrinological Disorder
秋口 格
1
,
長瀧 重信
1
Itaru Akiguchi
1
,
Shigenobu Nagataki
1
1長崎大学医学部第1内科
1Department of Internal Medicine Ⅰ, Nagasaki University School of Medicine
pp.623-626
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900692
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はじめに
健常成人では,細胞外液の25%は血管内液(血漿),75%は外液(組織間液)として存在するが,この組織間液の比率を一定に維持する機構に異常が生じた場合に浮腫(むくみ)が明らかとなる.浮腫は組織間液が異常に増加した状態であり,循環血漿量は増加,正常または低下のいずれかの状態でも起こり得る.この比率を一定に維持する機構を支える局所性因子として,組織間液と循環血漿液の間での液の交換があり,主として,局所の静水圧,膠質浸透圧および組織圧などのいわゆるstarling forceによって調節されている.他にも,例えば,リンパ液循環,細動脈,毛細血管透過性,あるいは間質の構造なども局所での水の交換・排除に重要な働きをしている.
全身性因子として,循環血漿量の調節に最も重要な役割を持つ腎臓に作用し,腎血流量,腎糸球体濾過および尿細管での水・Na再吸収を調節する因子が挙げられる.浮腫性疾患として代表的な,うっ血性心不全,非代償期肝硬変症,ネフローゼ症候群では,腎臓において主要な水・Na代謝調節ホルモンであるアルドステロン,下垂体後葉ホルモン(ADH),また近年,その生理作用が明らかになりつつある心房性Na利尿ホルモン(ANP)1)が関連して変動するが,その機構はなお明確でない点も多い.表1に全身性因子として作働する,内分泌性水・ナトリウム代謝調節因子を列挙した2).
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