セミナールーム・病態生理学
むくみ
中野 昭一
1
1東京慈恵会医科大学
pp.58-59
発行日 1969年5月1日
Published Date 1969/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917595
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むくみとは
体内の水分代謝の異常によって,組織内に過剰の組織液や,リンパ液の貯留した状態を水腫(Edema)と呼び,このうち,とくに皮下組織の細胞外液,つまり組織液が貯留した場合を浮腫(Anasarca)という。俗にいう「むくみ」である。しかし,近年はこの区別が特に守られているわけではなく,むしろ水腫と浮腫は同意語に用いられていることが多い。
一般にむくみのある部分はなんとなくはれぼったく,下腿などでは指先で圧迫すると,指の痕がいつまでも凹んだままで,なかなか元に戻らない。これを圧窩といい,このようなむくみの認められる時は,通常,体重が水分の貯留によって,正常時の体重より10%以上増加していることが多く,それまでは圧窩を認めがたいのが常である。このような場合,潜在性浮腫あるいは前浮腫と呼ばれている。
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