Japanese
English
特集 心臓各組織の線維化
心筋肥大と線維化
Myocardial Hypertrophy and Fibrosis
河合 祥雄
1
Sachio Kawai
1
1順天堂大学医学部循環器内科
1Department of Internal Medicine, Juntendo University School of Medicine
pp.209-215
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900627
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はじめに
一般的に,心肥大は長期間持続した圧・容量負荷の臓器反応である.また肥大は冠状動脈疾患の罹患・死亡の強力な危険因子として知られる1).加えて,肥大心では膠原線維の高い電気抵抗性のために調律異常が発生しやすく,1984年のMes-serliらの報告2)以後,改めて注目されている3,4).
心筋線維症は,本来は病理解剖学的な診断名で,前川5)によれば,19世紀後半以来,冠不全症の後遺病変として理解され,この病名は,特に原因不明の老年性慢性うっ血性心不全の際によく用いられた.Friedbergの教科書6)では,「心筋線維症は慢性うっ血性心不全の成因の一つで,広範な心筋の線維化を示す場合であり,以前,慢性心筋炎と言われたが,冠状不全で生じる」と記載されている.その意味で,最近の「慢性心筋炎」の再評価とその用語の使用に忌避を示す雰囲気の源7)である病態を含む概念であり,興味深い.
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