Japanese
English
特集 呼吸器疾患難治化の要因
気管支喘息—難治化因子とその対策
Bronchial Asthma:Intractable factors and treatment of asthma
相良 博典
1
,
牧野 荘平
1
Hironori Sagara
1
,
Sohei Makino
1
1獨協医科大学アレルギー内科
1Department of Medicine and Clinical Immunology, Dokkyo University School of Medicine
pp.41-49
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900600
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はじめに
気管支喘息は気道過敏をもつ気道炎症疾患と考えられ,好酸球,T細胞に加え多くの気道構成細胞および炎症細胞が関与している.気管支喘息は発作性の呼吸困難,喘鳴を主徴とし,気道過敏性とアトピーを主な病態生理学的性質としている.気道の過敏性はほぼ全ての喘息患者にみられ,アトピー素因は約70%にみられる(抗ダニIgE抗体の陽性率より).喘息発作は,アレルゲン曝露による気道でのアレルギー反応,また刺激ガス吸入,運動による過換気などの非特異的な刺激が過敏な気道に加わることによって起こる.気道閉塞の機序は喘息死の病理所見,また気管支鏡所見からもみられるように,気道平滑筋の攣縮,気道粘膜の浮腫,また気道分泌の亢進である.このような気道収縮の発作は原因は何であれ,一過性のものであり,治療によりまた自然に寛解する.これより考えると喘息症状は気道収縮のトリガーが加わった時のみに起こる一過性のものであるはずであるが,多くの喘息患者は慢性に出現し,また持続する気道閉塞によって悩まされている.本稿では慢性喘息いわゆる難治性喘息について述べる.
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