増刊号 内科エマージェンシーと救急手技
疾患からみた内科エマージェンシー
呼吸器疾患
67.気管支喘息
藤村 直樹
1
1高槻赤十字病院・呼吸器科
pp.1898-1903
発行日 1990年9月30日
Published Date 1990/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900484
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喘息は“種々の刺激に対する気管・気管支樹の充進した反応性によって特徴づけられる臨床症候群である.この過反応性の生理学的表現は,変化する気道閉塞”であり,①気管支平滑筋攣縮,②気道粘膜浮腫,③過分泌を伴1).喘息は救急診療上遭遇し得る頻度のきわめて高い疾患であり,事実人口の3〜5%が喘息を有していると考えられている.また1989年の厚生省“成人気管支ぜんそく実態調査研究班”によると,1989年9月の5日間,32呼吸器専門病院を受診・入院した2,800人の喘息患者中,59.5%に入院歴があり,51.7%が夜間救急外来受診歴を有していた.
喘息そのものが慢性,反復性疾患であり,厚生省調査研究班の報告でも52.6%の患者が10年以上の期間治療を受け続けている.さらに成人喘息死の約半数が自宅または来院途中での,いわゆる“dead on arrival=到着時死亡”例であることも,ニュージーランドや欧米での報告と一致するものであり,喘息治療の基本が日常の重症化防止への対策にあることは明らかである1,3).本稿では,喘息救急受診時の診断,治療,対策を中心に,その日常コントロールについても略記したい.
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