Japanese
English
解説
ストレスを与えない呼吸機能検査
Non-invasive Pulmonary Function Tests
赤柴 恒人
1
,
堀江 孝至
1
Tsuneto Akashiba
1
,
Takashi Horie
1
1日本大学医学部第一内科
1The First Department of Internal Medicine, Nihon University School of Medicine
pp.549-555
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900486
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呼吸機能検査法は近年著しく発展し,末梢気道領域の早期病変を検出する検査法,気道過敏性検査などをはじめとして,種々の新しい検査法が加わり,ルチン化されている.しかし,スパイログラムをはじめとするほとんどの呼吸機能検査は,被検者の協力とともに努力が必要であり,この点は循環器領域における心電図や心エコー検査と大きく異なっている.そして,被検者に要求される努力は,当然被検者にとって苦痛であり,大きなストレスともなっている.例えば,最も基本的な呼吸機能検査法であるスパイログラムは,健常者にとってはそれほど大きなストレスとはならないかもしれないが,低肺機能の被検者にとっては,苦しい検査であり,大きなストレスとなる可能性がある.しかし,被検者に努力を強いなければ,正しい情報が得られず,意味のない検査となってしまう.近年,一般化されつつあるFlow-volume曲線,Closing vol-ume,ΔN2の測定にしても被検者は残気量位まで最大呼出を行わなければならない.肺拡散能の標準的検査法である一回呼吸法では10秒間の息こらえが必要なため,機能障害の強い症例ほど,検査の負担が大きくなる.また,肺コンプライアンスの測定には,食道カテーテルの挿入が不可欠であり,この挿入は被検者にかなりの不快感をもたらすため大きなストレスとなる.したがって,ストレスを伴わない呼吸機能検査とは,安静呼吸下で測定が可能な検査法ということになるであろう.
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