Japanese
English
Bedside Teaching
スパイロをやれない病態,やらない病態
Spirography:to be or not to be done
鏑木 孝之
1
,
川越 康博
2,3
,
金野 公郎
1
Takayuki Kaburagi
1
,
Yasuhiro Kawagoe
2,3
,
Kimio Konno
1
1東京女子医科大学呼吸器センター内科
2東京女子医科大学心臓血圧研究所内科
3Johns Hopkins大学
1Chest Institute, Tokyo Women's Medical College
2Department of Cardiovascular Medicine, The Heart Institute of Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.1197-1199
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900389
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はじめに
近年医学の進歩は,平均寿命を廷長し高齢者層を増加させる一方,かつては困難であった外科手術も可能にし,多臓器障害例の外科手術数も増加の傾向にある.高齢者は成人病,特に虚血性心疾患,脳血管障害,悪性腫瘍の合併が高く,このような他臓器障害例において外科手術が必要でかつ呼吸器疾患の合併が疑われる場合,本稿の課題が問題となる.外科手術の安全性向上を目的とし,手術適応の有無を決めるため,呼吸機能の把握が重要なポイントとなる.
一方,呼吸機能の基本的検査であるスパイログラムは,呼吸機能障害の検出において有用かつ簡便で安全性の高い検査として日常臨床において汎用されているが,最大呼吸努力を必要とするなど幾つかの問題点がある.したがって多臓器障害例,特に重症虚血性心疾患を合併したハイリスク例では,努力呼吸によって病態を悪化される可能性もあり,また高齢者で理解力不足のためスパイログラムを行いにくいこともある.そこでこのように複雑な状況下でのスパイログラムの適応を,対象症例の検討により,スパイログラムを「やれない病態,やらない病態」として解説し,やれない病態の対処方法にも言及する.
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