連載 リズムとからだ 「うまくいく」と「うまくいかない」の謎・10
二重スパイ
伊藤 亜紗
1
1東京工業大学リベラルアーツ研究教育院
pp.68-71
発行日 2018年1月25日
Published Date 2018/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200909
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
前回のお話の後半で,特定のキャラクターを演じながら話すと,吃音が回避される例を紹介しました。山田舜也さんの例でしたが,サークルの代表になったときに,わざと「適当なキャラ」を演じていると話しやすかった,と言うのです。
もっとも,こうした演技の要素は,吃音の当事者であるか否かにかかわらず,私たちの日常生活にあまねく見られるものです。ゴッフマンが言うように,その目的は「自分の利益になる印象を相手に与えること」。どのような人に見られると相手との関係がうまくいくのか,そして結果的に自分が得をするのか。私たちは自分の見せ方を微調整しながら,他者とかかわっていきます。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.