特集 看護学実習 教員・指導者・学生,三者の体験から
第1部 体験から学ぶ「看護学実習」をめざして
実習指導という体験
臨床指導者のやりたいこととやれないこと,やるべきこと
松岡 裕美
1
1東京医科歯科大学附属病院
pp.951-955
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100161
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新鮮な気持ちで実習を受け入れる
私が勤務している大学総合病院の精神科開放病棟には,研修医や医学生や心理学専攻の学生が入れ替わり立ち替わりでやってくる。名前どころか,顔すら覚えられないような状況だ。これに反して,看護学生はあまり実習に来ない。附属する大学からの学生が,秋から冬にかけて2週間ずつ3クール実習するのみなのだ。残念な気持ちを「わずかな機会を最大限生かしてやるぞ」という意気込みに変えている。
実習がはじまる頃,4月に入ってきた看護師への教育も一段落して,病棟全体はややマンネリ化している。それだけに,実習が近づくと,「何かおもしろいことが起きるのでは」という期待と,「学生の手本になるような看護ができているのか」「適切に実習指導ができるのか」という不安が入り交じった新鮮な気持ちになる。そして,看護師は受持ち患者の看護計画を人知れず修正し,師長は学生に渡す資料を見直し,私は患者の状態や看護についての再確認をする。それぞれが,学生に見られても恥ずかしくないように,まるで化粧直しをするかのように実習受け入れの準備をするのである。
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