Japanese
English
綜説
非観血的動脈硬化診断
Non-invasive Diagnosis of Arteriosclerosis
増田 善昭
1
Yoshiaki Masuda
1
1千葉大学医学部第三内科
1The 3rd Department of Internal Medicine, School of Medicine, University of Chiba
pp.115-122
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900217
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はじめに
動脈硬化は現在多くの先進国における最大の死亡原因である脳血管疾患,心臓病の基礎疾患でありながらその診断や重症度判定についての明確な臨床的基準はない.その理由の第一は動脈硬化は大動脈から細動脈に至る広範囲な全身病変であり,また,動脈硬化の結果として生じた臓器病変もその中に含まれてしまうこと,第二は硬化病変の程度が動脈の部位によって極めて異なること,第三は動脈硬化の病変が粥状変性による狭窄だけでなく,壁の肥厚,変性,脆弱化,拡張など多様で複雑な変化を有すること,第四は動脈の病的硬化と生理的老化の関係が曖昧であること,第五は動脈硬化の診断が一部を除き直接治療に結びつかなかったことである.しかし,最近では各種非観血的な画像診断の発達につれ,より早期からの正確な客観的診断の道が開けつつあり,一方,新しい動脈硬化治療薬,LDLアフェレーシス,経皮経血管的動脈拡張術等,従来治療困難と考えられていた動脈硬化の積極的治療が行われるようになったことから本症診断の必要性が見直されている.
動脈硬化の非観血的診断としては表1に示すものがあるが,ここでは問診,身体所見,一般検査等は省き,また,心電図,眼底検査等の臓器に特異性を持つ診断法も略すことにし,動脈硬化一般にわたる比較的新しい検査法を中心に述べることにした.
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