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最近の抗不整脈剤の開発にはめざましいものがあり,本邦でもここ数年,いろいろな抗不整脈剤の臨床治験が行われてきた。それらの中には,平成2年3月現在,すでに市販され,日常臨床に供されているもの(mexiletine,aprindine,verapamil,diltiazemやpropafenon),厚生省に申請中のもの(SUN-1165,cibenzoline,bepridil,flecainide),現在多施設において臨床治験中のもの(amiodarone,pirmenol,ME3202,D-600,E-4031,CV-6402,MD-26)など,さまざまなものがある。このように,メーカーサイドで薬剤の開発をあおっているのは,高齢化社会の到来で,心筋梗塞をはじめとする心疾患患者がふえ,それに相応して抗不整脈剤の適応患者もふえてきたことが主因であろうが,従来の抗不整脈剤は“帯に短し,たすきに長し”で,切れ味が良いとまた副作用も強く,この点,理想的な抗不整脈剤がまだ臨床に登場していないことにも起因していよう。
理想的な抗不整脈剤の出現まで,なおかなりの時間がかかるとすれば,今日の薬物療法は従来の抗不整脈剤に頼らざるをえない。しかるに,薬剤の単独投与では効果がないか,効果があっても忍容性が低い場合,作用の異なる薬剤を二つ,三つ併用して,相加的ないし相乗的効果をねらい,一方では各々の投与量を減らすことで忍容性を高めるという治療法が行われるようになった。かかる治療法は併用療法combination therapyと呼ばれ,経口剤による治療が中心となるが,本邦においても,抗不整脈剤の種類がふえるにしたがい,各種の抗不整脈剤を組み合わせた薬物療法が試みられるようになってきた。
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