巻頭言
間歇性跛行の治療
勝村 達喜
1
1川崎医科大学胸部心脚血管外科
pp.505
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900152
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下肢の主幹動脈に狭窄あるいは閉塞がある場合,短距離の歩行によって下腿の腓腹筋などに疲労感,鈍痛,緊張感,激痛などをきたし,歩行を続けるとさらに苦痛が増し,遂に歩行できなくなり,静止,休息によって4〜5分で軽快する。この現象は間歇性跛行と名づけられ,腸骨動脈閉塞では臀部や大腿後面に,大腿膝窩動脈閉塞では腓腹筋に,後脛骨動脈閉塞では足筋に疼痛がみられる。この疼痛の原因は動脈閉塞のために運動時に使用される筋肉に必要なだけの動脈血が供給されず,そのため筋収縮時に発生する乳酸などの代謝物質が蓄積し,痛覚線維末端が刺激されて起こるとされている。
我が国も人口の高齢化,食生活の変化など色々の要因はあろうが,最近,閉塞性動脈硬化症が急激に増加しつつある。この病気は下肢動脈だけではなく,冠動脈,頸動脈などにもみられるもので,冠動脈では間歇性跛行に相当するものは狭心症状であろうし,頸動脈でのそれは一過性脳虚血発作と呼ばれるものであろう。
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