連載 臨床神経学プロムナード—60余年を顧みて・17
「脊髄性間歇性跛行」をめぐって:本邦初報告から久しく絶えた(1929〜1967)意外な理由
平山 惠造
1,2
1千葉大学(神経学講座)
2日本神経治療学会
pp.942-943
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1416202153
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筆者が医学生の時代に(1950年代),「間歇性跛行」を外科の講義で聴いた。下肢動脈の閉塞性障害(Bürger病)によるもので,ビュルガーというと教わった。太平洋戦争終戦(1945年,昭和20年)以前の日本におけるドイツ医学教育の名残りであった。その後,BürgerはBuerger(バージャー)であり,戦前にはドイツにいたが,その後,米国に移ったと折に触れて聞いた。
「間歇性跛行」の歴史は古く,Charcot(1858)1)の記述に遡るが,それはさておき「脊髄性」間歇性跛行はDejerine(1906,1911)2,3)が,彼の門下生のSottas(1894)の学位論文4)に初めて記述させたものである。筆者が臨床神経学の道に進んで以来(1956〜),日本でこれを聞く機会はなかった。その後,Garcin教授のもとに留学して(1962〜1964),Salpêtrière病院での先生の毎日の廻診や外来でのconsultationの中で2回,これを耳にした。講義ではなく,consultationの中なので断片的であるが,1回目は「脊髄性間歇性跛行」がmyélomalacie(脊髄軟化症)の前駆症状を呈することがあること,2回目はCharcotの「有痛性」間歇性跛行1)と異なり痛みを生じることなく,脱力により歩けなくなること,が留学ノートに記されている。
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