Japanese
English
特集 呼吸器疾患:症例から病態生理学/分子病態学へ
肺胞蛋白症
Pulmonary Alveolar Proteinosis
山口 悦郎
1
Etsuro Yamaguchi
1
1愛知医科大学呼吸器・アレルギー内科
1Division of Respiratory Medicine and Allergology, School of Medicine, Aichi Medical University
pp.1000-1008
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404206048
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
筆者が肺胞蛋白症(pulmonary alveolar proteinosis;PAP)を意識するようになったのは,呼吸器内科に入って間もなくの時期の症例検討会で,サーファクタントが肺胞に貯留するのは,産生亢進か処理能の低下か分かっていないとの先輩医師の発言を聞いた頃である.その後しばらくは貯留するサーファクタントのリン脂質の組成が通常と異なるとの知見を聞いて,その専門的生化学的分析が臨床の場で応用されるのはいつのことだろうと漠然とした思いでいた.ところがそのような停滞感を一挙に吹き払ったのが,抗顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)自己抗体(αGM-CSFAb)の発見であることは周知の事実である.
その後赴任した当科で比較的多くの事例を診療する機会があった.そのなかで重症例では達成感のある場合もある一方で,考えさせられたり治療限界を痛感したりする事例がある.以下にその例をもとに,本稿では成人に発症するPAPのうち,主に自己免疫性肺胞蛋白症(autoimmune pulmonary alveolar proteinosis;APAP)の病態と治療について解説する.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.