グラフ
肺胞蛋白症
河辺 秀雄
1
1聖路加国際病院・内科
pp.777-780
発行日 1966年6月10日
Published Date 1966/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201328
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症 状
Rosenが1958年に肺胞内をリポイドを多量に含む蛋白性物質が満ち,しかも炎症性の反応のない特有な疾患を27例集めて,Pulmonary Alveolar Proteinosisという病名で報告してから約80例が世界各地から報告された。日本では1960年に岡が初めて肺胞蛋白症として報告してから5例報告された。20〜50歳に多く,男に多い。症例の多くは塵埃の多い所での作業や揮発性物質を吸入する職業に関係しているが,原因は明らかでない。初め息ぎれ,咳,倦怠感,体重減少などあり,かるい発熱,胸痛,黄色い痰,時には血痰もあり,末期ではチアノーゼ,ばち状指,両肺下野の水泡音がある。二次的細菌感染も加わり,真菌ではNocardiaの合併したものが多い。初め胸のX線所見のほかには一般の臨床検査ではめだった所見がないが血清リポイドは増加の傾向にあり,SLDHは高く,病状が軽快すると低くなる。肺機能検査では拘束性所見と拡散障害がめだつている。肺の生検では,肺胞は,無構造または顆粒状物質で満たされ,PAS染色(Periodic acid-Schiff)陽性である。肺胞壁には炎症性の反応がめだたない。肺胞内物質はリポイド,コレステロール,糖質,アミノ酸,核酸,燐脂質を含んでいる。ムチンも含まれている。喀痰のPAS染色で陽性物質が証明されることもある。
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