Japanese
English
特集 難治性びまん性肺疾患克服への取り組み
肺胞蛋白症
Pulmonary Alveolar Proteinosis
田澤 立之
1
Ryushi Tazawa
1
1新潟大学医歯学総合病院生命科学医療センター
1Bioscience Medical Research Center, Niigata University Medical and Dental Hospital
pp.363-368
発行日 2012年4月15日
Published Date 2012/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101930
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はじめに
肺胞蛋白症は,1958年に初めて報告された肺胞内にサーファクタント物質に由来する無構造の物質が蓄積し呼吸不全を呈する疾患で,本邦での人口100万人当たりの有病率が6.0,罹患率が0.49という稀少肺疾患である1~3).従来,原因不明の特発性,血液疾患・免疫疾患などに伴う続発性,出生時からみられる先天性の3種類に分けられ,それぞれ90%,9%,1%の頻度とされてきた.9割を占める特発性の原因については,最初の報告から40年を経て,1999年に本症患者で,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)に対する自己抗体が検出されることが明らかになり4~7),2010年に,患者の血漿から精製されたGM-CSF抗体を投与したカニクイザルの肺で本症の病理所見が確認されたことから8),現在,GM-CSFに対する自己抗体の出現により,肺胞マクロファージの機能不全が生じて,肺内のサーファクタント物質の除去能が障害され本症発症に至ると考えられており,自己免疫性肺胞蛋白症と呼ばれている.本症病態におけるGM-CSFのシグナル伝達の重要性が明らかになって,近年,さらに本症の治療や病態について新たな知見が得られている.
本稿では,近年のトピックスとしてGM-CSF吸入療法,抗体陰性の特発性肺胞蛋白症としてのGM-CSF受容体欠損症,および続発性肺胞蛋白症(インジウム吸入,骨髄異形成症候群)について触れたい.
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