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本号の特集は「COPD合併肺癌:病因論から治療まで」を企画した.本特集では,埴淵昌毅先生らは「COPDにおける肺癌合併の分子機構」,板東政司先生は「疫学研究からみたCOPD合併肺癌の臨床」,仁木 登先生は「コンピュータ支援CT画像診断システムの開発」,小笹裕晃先生らは「肺癌診療専門内科医からみたCOPD」,井上哲也先生は「定位放射線治療」,関根康雄先生は「健診における肺癌およびCOPDスクリーニング」を執筆した.COPDは,肺局所の疾患に留まらず全身の疾患を併存し,また,肺癌をはじめとする呼吸器疾患を合併する.喫煙はCOPDと肺癌発症の共通のリスクファクターであるが,両者には共通する遺伝的背景や慢性炎症と肺癌発症の関連性が指摘されている.このような病態の解明と共にその疫学調査によるCOPD合併肺癌の発生頻度が明らかにされ,さらに,COPDの発見・診断を踏まえた肺癌検診におけるCOPDスクリーニングの重要性が認められ,従来のCTによる健診システムに加えて早期発見と正確な診断ツール・システムの開発が進み実用化が期待されている.放射線治療と化学療法の解説は,COPD合併肺癌の治療方針決定・治療効果判定に有益な情報を提供した.長坂行雄先生による「身体所見でアプローチする呼吸器診療」では,胸痛の診察について解説されている.綜説では,小西聡史先生らが「ヒトiPS細胞から気道上皮細胞への分化促進」について述べ,再生医療への期待が高まる.Bedside Teachingでは中島崇裕先生らが「肺癌評価におけるPETの有用性と課題」について解説した.Current Opinionでは川名明彦先生が「中東呼吸器症候群(MERS)」について詳細に述べられ,新型インフルエンザ感染,SARSのみならず,この機会にMERSの理解を深めたい.その他,佐田政隆先生は「冠動脈硬化と心臓周囲脂肪」,山田達也先生は「心臓手術における経食道心エコー」について解説された.この他,症例報告を2編掲載した.
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