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本号の特集「COPDの最新の話題」は,COPDの概念の変遷,GOLD 2011の改訂の要点,重症度を規定する因子,遺伝的背景から見た病態,発生機序,全身性炎症と併存症,気管支拡張薬と吸入ステロイドを中心とした薬物療法,などの最新の話題について執筆していただいた.
COPD診療における課題は,認知度と診断率の向上,そして予防と治療可能な疾患であり適切に治療することである.COPDの約90%は喫煙が原因である.喫煙は循環器疾患を含めて様々な疾患の原因でもある.また,COPDは動脈硬化においては喫煙とは独立した危険因子であり,心機能低下の原因となる.このような点からも循環器の先生にもご一読いただきたいと思います.「COPDの概念の変遷」の項では疾患概念の変遷と確立が詳細に述べられており,概念の変遷を知ることは疾患への理解度が深まり,重要な意味を持つ.「GOLD2011改訂の要点」の項の薬物治療に関しては気流閉塞の程度に加えて患者の呼吸困難とQOLの程度,増悪回数を含めて決定することが解説されている.「重症度を規定する因子」では,多角的な面から重症度について解説されている.「遺伝的背景から見た病態」と「発生機序」で解説いただいた最新の情報は,COPDの発症についての各論とともにCOPD患者を個体として捉えた場合,遺伝子情報から喫煙の影響を受けて発症する過程の理解に役立つと思われる.COPDは肺の炎症性疾患と共に全身性炎症性疾患であるとの概念が一般的になっており,「全身性炎症と併存症」の項では心不全を中心に解説いただいた.COPDは呼吸機能検査では正常に復することのない気流閉塞を示し,この気流閉塞は進行性である.抗炎症療法と気流閉塞の改善は薬物療法の基本であることを,「気管支拡張薬と吸入ステロイドを中心とした薬物療法」の項で解説した.COPDの理解にお役に立てれば幸いである.
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