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本号の特集は「アレルギー疾患モデルからの最新知見」を企画した.アレルギー性疾患の発生に関与する分子機構は多彩であり,個々の分子の役割の解析のみならず個々の分子の相互関係を解析することが病態形成の全貌に迫るうえで重要である.本特集では,気管支喘息およびアレルギー性皮膚疾患の病態形成に関与する分子機構に焦点を絞り,「プロトン感知性G蛋白共役受容体OGR1ファミリー」,「2型システィニルロイコトリエン受容体」,「LTB4とエラスターゼおよびTh17とInnate Lymphoid Cell 3(ILC3)による好中球性炎症の誘導」,「PD-1/PD-L1シグナルを介するエフェクターT細胞活性化」,「ペリオスチン」,「ILC2」,「概日リズム性の生理現象を司る『時計遺伝子』によるⅠ型アレルギー反応の調節機構」について解説されている.いずれも最新の話題であり,解説されている病態を踏まえた治療が臨床応用されることを期待したい.総説,「気管支喘息治療における抗コリン薬」では,抗コリン薬の気管支喘息治療における有用性について歴史的な変遷を含めて解説されている.また,「遺伝性疾患に伴う大動脈疾患」では近年の分子遺伝学の進歩によって解明された点を含めて解説されている.Bedside Teachingでは,気管支喘息の治療方針と治療効果の判定に極めて重要である「気道炎症の評価」,心房細動の最新で低侵襲性のアブレーション法である「クライオバルーン」を取り上げ,臨床に即した内容が述べられている.Current Opinion,「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」では,遺伝的素因を含めた最新の病態形成における話題,治療面では抗IL-5抗体治療を含めた分子標的治療の話題について解説されている.また,「植込型補助人工心臓の現状」では,植込型補助人工心臓の研究の動向・臨床応用など詳細に述べられている.この他,症例報告を1編掲載した.
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